木造アパートは虫が多い?デメリットと対策

木造アパートは、住み心地の良さや快適性が魅力です。しかし適切な対策を講じれば安心して暮らせます。

本記事では木造建築で懸念される虫被害の原因や対策を詳しく解説します。
木造住宅固有の課題である虫対策のポイントをおさえ、理想的な住まい環境を維持する方法を知りましょう。
昨今では構造や技術が進歩し、適切なリフォームや予防策により虫被害を未然に防ぐことが可能です。
専門的な視点から対策方法を詳述しますので、木造住宅を安全快適に保つための知識を深めてください。

木造アパートのデメリット:虫が多いって本当?

木造住宅はシロアリなど木材を好む害虫の被害が懸念される一方、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造では木材使用量が少ないためシロアリ被害は少なくなります。下表に主要な構造ごとの特徴と虫の影響をまとめました。

構造形式 虫の影響 主な特徴
木造住宅 シロアリや木材害虫の被害を受けやすい 木の温もりと調湿性があるが、木材が劣化すると害虫を呼びやすい
鉄筋コンクリート住宅 シロアリ被害はほとんどないが、湿気によるカビ・ダニに注意 耐久性・遮音性が高いが、通気性は木造より低い
鉄骨造住宅 木部が少ないため虫害リスクは低い 工期が短くコスト効率も良いが、防音性は木造に劣る

上記のように、住宅の構造ごとに虫被害のリスクには違いがあります。木造住宅は木材が栄養源となるため虫を引き寄せやすいものの、適切な対策を行えば被害を最小限に抑えることができます。

木造住宅とコンクリート住宅の違い

木造住宅は天然木材で作られ、シロアリが好む素材が多く使われています。一方、RC住宅や鉄骨住宅では木材の使用量が少ないため、そもそもシロアリのエサとなる部分が少なくなります。ただし鉄筋コンクリート住宅でも、浴室や台所からの漏水で湿気が滞留するとカビやダニが発生しやすくなります。このように構造によって発生する虫の種類は異なりますが、どちらの住宅でも清掃や換気を怠ると害虫が入り込む余地ができてしまいます。

木材の特性と虫の好み

木材は主成分がセルロースであり、シロアリやキクイムシなどの木材害虫にとっては絶好の栄養源です。さらに木材は吸湿性が高く、梅雨時など湿度の高い季節には水分を含みやすくなります。湿った木材はシロアリの加害を進行させ、カビやダニにとっても生育しやすい環境になります。このように木が持つ物理的・化学的な特徴が、虫を引き寄せる要因となるのです。

木造住宅だから虫が増える訳ではない

とはいえ、木造住宅だからといって必ず虫が発生するわけではありません。新築時には防腐・防蟻処理が施されており、設計や施工の段階で湿気対策がとられています。たとえば、防腐・防蟻処理済みの木材を使用したり、床下換気用の空間を確保することでシロアリの侵入を防ぎます。また、日頃からこまめに掃除を行い、家具の下や押入れの湿気を取り除くことも有効です。こうした対策をしっかり行えば、木造住宅でも虫を寄せ付けない環境をつくることができます。

木造住宅で見られる代表的な害虫と被害例

木造住宅には様々な害虫が発生する可能性があります。シロアリを代表に、木材を食害する虫や一般的な害虫まで多様です。以下に特に注意すべき代表的な害虫と被害の例を紹介します。

シロアリによる被害

シロアリは木材を主食とする昆虫で、床下や柱の内部で発見が遅れると建物の構造部分を食い荒らしてしまいます。とくにヤマトシロアリやイエシロアリは地中から家屋に侵入し、基礎部分と木材をつなぐ蟻道(ぎどう)で移動します。春先に羽アリ(有翅虫)が大量に発生する“群飛(ぐんぴ)”はコロニーが建物に近づいているサインです。また、床下や壁の中に蟻道があれば要注意。発見が遅れると柱がスカスカになり、床が抜けるなど建物の耐震性を著しく低下させます。シロアリ駆除は被害を抑えるために最も重要です。

キクイムシなど木材を食べる虫

キクイムシは家具や床材の内部を食べる害虫の総称で、木材の内部で幼虫が成長する過程で木くず(フラス)を排出します。床下や家具の隙間に粉状の木くずが見つかったらキクイムシの可能性があります。シロアリほど被害の進行は早くありませんが、長期間放置すると木製部分がもろくなり建材の寿命を縮めます。また衣類やカーペットを食べるヒメカツオブシムシやカツオブシムシといった害虫も存在し、タンスの中や収納庫でも被害が生じることがあります。

ゴキブリやダニなど一般的な害虫

ゴキブリやダニは木造住宅に限らずどの住宅にも発生しますが、木造住宅では床や壁の隙間が多いためこもりやすく、掃除不足だと繁殖しやすい傾向があります。ゴキブリは台所や浴室周りで食べこぼしを餌に繁殖し、人に害を及ぼす病原菌を運ぶこともあります。ダニは畳や布団など布製品を好み、アレルギー症状の原因になることがあります。さらに梅雨時期や風通しの悪い環境ではムカデやヤスデなど湿気を好む虫も現れやすいので、清潔で乾燥した環境を保つことが大切です。

木造住宅が虫被害を受けやすい理由

木造住宅では虫被害を誘発しやすい構造的・環境的な特徴があります。ここでは木造ならではの弱点を見ていきましょう。

床下や基礎周りの隙間

木造住宅の床下には通気口があり、床下の換気はある程度確保されているものの、隙間が多いためシロアリの侵入口にもなり得ます。施工不良や経年劣化で基礎と土台の間に隙間ができると、そこからシロアリやゴキブリ、ムカデなどが侵入することがあります。とくに水漏れや結露で湿気が高くなると、シロアリが好む環境となるので、基礎まわりの防湿や水漏れ対策が重要です。

壁や柱の内部も侵入経路に

壁や柱の内部は普段目に見えないため、害虫の隠れ家になりやすい場所です。木材同士の接合部や配線・配管の通し穴にわずかな隙間があると、シロアリがそこに蟻道を作って建物内部に侵入します。古い木造住宅では壁内に断熱材やクッション材が入っている場合があり、湿った断熱材はダニやシロアリの餌場になることがあります。

温度・湿度が一定で快適環境

木造住宅は断熱性や調湿性に優れるため、夏は湿度が高まりやすく冬は室内が暖かいまま湿度が下がりにくい傾向にあります。このように温度・湿度が一定に保たれた状態は、シロアリやダニをはじめ多くの害虫にとって繁殖しやすい環境となります。そのため定期的な換気や除湿により、木造住宅内の湿度をコントロールすることが害虫予防につながります。

虫被害を防ぐための日常的な対策

木造住宅で虫被害を未然に防ぐには、日頃の生活習慣が鍵となります。以下に今日から実践できる基本的なポイントをまとめました。

清掃・換気で虫の住みにくい環境に

室内外を清潔に保ち、水分をためないことが害虫対策の基本です。具体的には次の点に注意しましょう。

  • こまめに掃除する:床や家具の下にホコリ・木くずがたまるとシロアリやゴキブリのエサになるので、掃除機で定期的に除去する
  • 換気を徹底する:床下や押し入れの換気口を定期的に点検して湿気を逃し、カビ・ダニの繁殖を防ぐ
  • 水回りの管理:台所や浴室の水漏れを防ぎ、生ごみは密閉容器やネットに入れて放置しない
  • 不要な木材は処分:使わなくなった古材や段ボールは放置せず、屋外に出すなら床面から浮かせるなど湿気対策を講じる

防虫・防腐剤の活用

木材や床下に防虫・防腐剤を使用するのも有効です。最近ではホウ酸系の製剤(例:ボロンdeガード)が普及しており、人体に比較的安全で長期間持続するのが特長です。新築時に施工されていることが多いですが、築年数が経過した建物では効果が弱まるため、必要に応じて専門業者による再処理を検討しましょう。

定期的な点検と専門家の利用

市販のシロアリ検知剤やシロアリ用の見張り装置を設置して、小さな異常でもすぐ気づけるようにします。それでも不安な場合は、毎年または数年ごとに専門業者に床下点検を依頼しましょう。プロによる点検では床下や壁内を詳しく調査し、必要に応じて薬剤処理や補強工事を提案してくれます。多くの住宅会社や自治体では無料点検サービスを実施していることもあるので、積極的に利用すると安心です。

シロアリ保険などの制度活用

シロアリ被害に備える保険制度を利用する方法もあります。住宅メーカーや損害保険会社が提供するシロアリ保険(保証)に加入すると、被害が発生した際に駆除や修繕費用を補償してもらえます。新築時はもちろん、既存住宅向けの商品も増えているので、あらかじめ検討しておくと安心です。

被害に遭った場合の対策とリフォームのポイント

万が一害虫被害が判明したら、速やかに対応しましょう。軽度な被害であれば自分で対処できる場合もありますが、被害が広がっている場合は専門家に依頼するのが確実です。

初期段階なら自分で対応も可能

被害が小規模であれば、市販の薬剤で自力駆除が可能です。シロアリ用の泡状薬剤やダニ用の散布剤には一定の効果が期待できます。ただし薬剤は取り扱い説明を守り、床下などに使用する場合は安全対策を十分に講じてください。

専門業者による駆除と補修の流れ

シロアリ被害が広範囲に及んでいる場合や自力駆除で不安が残る場合は専門業者に相談しましょう。業者は被害箇所を調査した上で、必要に応じて床下全体への薬剤散布や熱処理、ベイト工法(毒餌による駆除)などの方法で駆除します。同時に、被害を受けた柱や土台の木材を交換・補強するリフォームを行うことが一般的です。駆除や補修には一定の費用がかかるため、初期の小さなサインを見逃さずできるだけ早めに対処しましょう。

再発防止のポイント

駆除後は再発防止策が重要です。床下や柱に耐久性の高い防蟻薬剤を再度塗布し、シロアリの侵入を防ぎます。また、床下に防湿シートを敷いて地面からの湿気を遮断する工事を行うと、虫が繁殖しにくい環境になります。換気扇を設置したり配管の水漏れを修理して家全体の湿度を低く保つことも、虫の再発防止につながります。

まとめ

木造アパートには木の風合いと優れた調湿性という魅力がありますが、シロアリや木材害虫に狙われやすいというデメリットもあります。しかし、日々の掃除・換気習慣や適切な防虫処理、専門家による定期点検を組み合わせれば、虫被害のリスクを大きく軽減できます。

万一被害が発生しても、早期発見・早期対処が被害拡大を防ぎます。虫被害にとらわれ過ぎて木造住宅を敬遠するのではなく、正しい知識をもって対策を講じ、安全で快適な住まい環境を築きましょう。

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