一戸建て住宅では構造や外壁材の違いが住み心地やメンテナンス費用に影響します。日本では木造住宅が主流ですが、外壁にモルタル塗りを採用した「木造モルタル造り」の家もあります。
この記事では、木造住宅と木造モルタル造りの違いやそれぞれの特徴・メリット・デメリットを解説し、選び方のポイントを紹介します。
目次
木造モルタル造りと木造住宅の違い
「木造モルタル造り」とは木造軸組などの構造体に外壁としてモルタルを塗り付けた仕上げ方法を指します。
構造自体は一般的な木造住宅と変わらず、木材で組まれた骨組みの上にモルタル層が追加されているだけです。
したがって木造モルタル造りも木造住宅の一種であり、建物の主要構造に違いはありません。
木造住宅とは
木造住宅は柱や梁などの木材で骨組みを作る工法で建てられた住宅です。
日本の伝統的な軸組工法(在来工法)では柱と梁を組み合わせて骨組みを構築し、壁や屋根を後から取り付けます。北米発祥の2×4工法(枠組壁工法)では、あらかじめ加工された木材のパネルを組み立てて壁や床を作ります。
どちらも木材を主要構造材とする点は同じです。
木造住宅は鉄筋コンクリート住宅に比べて軽量なため基礎工事を小さく抑えられ、建築コストが安いというメリットがあります。
また、木材が持つ調湿性や断熱性により室内を快適に保ちやすく、近年は耐震技術の向上で地震への強さも高められています。
木造モルタル造りとは
木造モルタル造りの住宅では、基礎から屋根まで木造で構造を組み上げた後、外壁をモルタルで仕上げます。
具体的には柱や間柱に薄い木ずり(下地)を打ち付け、その上から金属製のラス網(網目状の金属製下地)を張り、その上にセメントと砂を練ったモルタルを3層塗り重ねます。
モルタル層を厚く仕上げることで、独特のざらついた風合いや凹凸のあるデザインが得られます。昭和期前半に多く用いられた工法で、質感のある重厚な外観が特徴です。
名称の違いと共通点
結局のところ、木造住宅と木造モルタル造りの本質的な違いは外壁仕上げにあります。
どちらも木造軸組工法や2×4工法などで建てられ、主要構造は木材です。
したがって構造自体には差がなく、木造モルタル造りは外壁のモルタル仕上げの有無を表す名称にすぎません。
住宅を選ぶ際は構造上の違いではなく、外壁材の性能やメンテナンスの違いに注目することがポイントです。
木造住宅の構造と特徴
まず木造住宅の基本構造について見てみましょう。日本の木造住宅には伝統的な在来工法の軸組工法と工期が短い2×4工法があり、それぞれ長所と短所があります。
軸組工法は現場で木材を組むため設計の自由度が高い一方、職人技に依存する部分があります。
2×4工法は工場加工済みのパネルを組み立てるため施工が速いですが、間取りの自由度はやや制約されます。
どちらの工法も木材を用いるため、軽量であることや調湿性に優れるという共通点があります。
軸組工法と2×4工法
軸組工法は日本古来の工法で、柱と梁を組み前後・左右に連結して骨組みを作ります。施工中に間取り変更が比較的容易で、地形やデザインに合わせた変形にも対応しやすいのが特徴です。
一方、2×4工法(枠組壁工法)は2インチ×4インチの木材と合板で作ったパネル(壁体)を組み立てる方式です。パネルを接合することで長方形状に建物を作っていくため、工事中に建物がある程度形になる安心感があり、現場作業は効率的に進められます。
いずれの工法でも主要構造材は木材であり、性能面でも大きな違いはありません。
木造住宅のメリット
- 施工コストが安い:木造は軽量なので基礎や資材費を抑えやすく、鉄筋コンクリート造と比べて建築費用を低くできます。
また、木材は熱を伝えにくい性質があり断熱・調湿性も高いため、冷暖房費の節約効果も期待できます。 - 調湿効果が高い:木材には含水量があり、室内の湿度が高いときは湿気を吸い、乾燥すると放出する性質があります。
この調湿作用により、カビや結露の発生が抑えられ、快適な室内環境をつくりやすいです。 - 耐火・耐震性:木造住宅は、構造部が炭化して内部を保護する「燃えしろ設計」の観点から、防火地域でも採用されています。
木材は鉄材ほど急激に強度が落ちない性質があるほか、木造は適度にしなって地震エネルギーを吸収しやすい素材でもあります。最近は耐震等級2以上をクリアする技術も一般化しています。
木造住宅のデメリット
- 施工品質が職人技に依存:現場で木材を加工して組み立てる部分が多いため、職人の経験や技量によって仕上がりに差が出やすいです。
信頼できる施工業者・大工を選ぶことが重要です。 - 耐久性・強度:木材は経年で劣化したり腐朽したりしやすいため、強度は鉄骨造に比べるとやや低めです。
適切な防腐・防蟻処理を施し、定期的な補修を行うことで耐用年数を延ばします。 - シロアリ被害のリスク:木造住宅はシロアリなどの害虫による被害を受ける可能性があります。
被害が広がると構造躯体に大きなダメージを与えるため、薬剤散布や点検による防蟻対策を定期的に行う必要があります。
モルタル外壁の特徴と注意点
モルタル外壁は古くから木造住宅で用いられてきた外壁仕上げです。セメントと砂を水で練ったモルタルを木下地の上に塗り重ねて仕上げます。
下塗り→中塗り→上塗りと三層にして厚みを持たせ、職人がコテや吹付けなどでパターンを作るため、重厚で温かみのある風合いが得られます。
職人技による凹凸感や継ぎ目のない仕上がりが特徴で、かつての日本の住宅でよく見られた工法です。
モルタル外壁のメリット
- 防火性が高い:モルタルは不燃材なので、外壁にモルタルを使うと火災時の延焼を抑制する効果があります。
- 構造的な剛性アップ:厚いモルタル層が木造躯体と一体化するため、壁が固まって耐震性に寄与します(施工が適切であることが前提です)。
- 呼吸性・調湿性:モルタル層には微細な空隙が含まれるため湿気を吸放出します。木材と合わせて室内の湿度をほどよく調整しやすくなります。
- 質感・デザイン性:吹付け(リシン・スタッコなど)やコテ仕上げなど多様な仕上げが可能です。全体に継ぎ目がないため、曲線壁や装飾など自由度の高いデザインに対応でき、職人技による美しい外観を実現できます。
モルタル外壁のデメリット
- ひび割れしやすい:木材の伸縮や地震、乾燥収縮などの影響でモルタルにひびが入りやすいです。ひび割れが進むと水が浸入しやすくなるため、早めの補修が必要になります。
- 断熱性・気密性が低い:モルタル自体は断熱材ではなく、塗り重ねた厚みでも気密性は十分とは言えません。そのため追加の断熱工事や気密工事をしないと、冷暖房効率が悪くなることがあります。
外壁材の違い:モルタルとサイディング
近年の新築ではモルタル外壁に加え、窯業系や金属系のサイディング外壁が主流です。
サイディングは工場生産された板材を張り付ける仕上げ工法で、施工が早くデザインバリエーションに富むのが特徴です。
ここではモルタル外壁とサイディング外壁の違いを比較し、それぞれの向き不向きを解説します。
サイディング外壁とは
サイディング外壁は「サイディングボード」と呼ばれる板状の外壁材を現場で張り合わせる工法です。最も一般的なのは窯業系サイディングで、セメントや繊維質を主原料とした板が使用されます。
他に金属製のサイディングや木質系のサイディングもあります。サイディングボードは規格寸法のため施工が簡単で、石造風・レンガ風・木目調など豊富なデザインから選ぶことができます。
国内の戸建ての約9割がサイディング外壁で、最近ではほとんどの新築木造住宅で採用されています。
モルタルとサイディングの比較
| 項目 | モルタル外壁 | サイディング外壁 |
|---|---|---|
| 施工方法 | 木造躯体にラス網を張り、モルタルを何層にも塗り重ねる。職人の手作業が多く工期が長い。 | 工場製造のパネル(ボード)を現場で張り付ける。施工が速く品質も安定しやすい。 |
| デザイン・風合い | コテ仕上げや吹付けパターンで自然な凹凸感が出せる。継ぎ目がなく、曲線や仕上げパターンの自由度が高い。 | 石目調・木目調など多彩な意匠がある。板状なので継ぎ目(目地)があるが、見分けにくいものもある。 |
| 耐久性・メンテ | ひび割れが発生しやすく、補修や再塗装は10~15年ごとに必要になる。 | 耐候性に優れ、パネルの種類によるが塗り替えサイクルは15~20年程度と長め。目地のシーリング劣化に注意が必要。 |
| 断熱性・気密性 | モルタル自体は断熱性が低く、気密性も高くない。現代の住宅では通常、外断熱や壁内断熱が別途必要になる。 | パネルに中空層や断熱材を併用した製品もある。基本的にモルタルより気密性は高く、断熱工事もしやすい。 |
| コスト | 材料費は安価だが施工費が高くなりがち。全体として初期コストはやや高め。 | パネル自体は製品によって幅があるが、施工が早いため工事費は抑えやすい。コストパフォーマンスが高い。 |
それぞれに向いている人
モルタル外壁は手仕事ならではの重厚な風合いが得意で、曲線や凹凸のあるデザインにしたい人に向いています。
多少施工費が高くなっても、外観のオリジナリティを重視する方に適しています。
一方、サイディング外壁は工期が短く低コストで施工でき、豊富な柄・色から選べるのが魅力です。初期コストを抑えつつ、多彩なデザインや高い耐候性・断熱性能を求める方にはサイディングがおすすめです。
耐震性・耐久性とメンテナンス
木造住宅全般の耐震性や耐久性についても確認しておきましょう。木造は軽量で柔軟性があるため、地震時に揺れをある程度吸収しやすい性質があります。
ただし木材の強度は鉄骨造に比べると低いため、耐震補強(耐力壁の配置や接合金物の強化)をしっかり行うことが重要です。最近では耐震等級2以上を取得する設計技術が普及しており、地震に強い木造住宅も増えています。
一方、耐久性や寿命については、適切なメンテナンスが大切です。木造住宅は構造材が腐朽したりシロアリ被害を受けたりしないよう、防腐・防蟻処理を施工します。
外壁や屋根も経年で劣化するため、塗り替えや補修を10~20年ごとに計画します。断熱材や窓の性能向上リフォームを行えば、現在の省エネ基準に近づけることができ、快適性も向上します。長期的に住居を管理するためには、メンテナンス計画と費用の見通しを立てておくことが重要です。
耐震性
木造住宅は軽量で地震の揺れが小さいため、地震エネルギーを受け止めやすいメリットがあります。木材は粘り強い性質を持ち、急激な変形に耐えることができます。
ただし、耐震性を確保するには壁量(耐力壁の量)や筋交い・面材の配置が重要です。耐震基準に合った設計を行い、適切な補強を施せば、近年の大地震でも倒壊リスクを大幅に下げられます。
耐久性とメンテナンス
日本の伝統木造建築が数百年保つ例があるように、木造住宅はきちんとメンテナンスすれば寿命が長いのが特徴です。ただし一般住宅では木材の腐朽やシロアリ被害、外壁・屋根の劣化が課題になります。
構造材には防腐・防蟻処理を施し、外壁・屋根は定期的に再塗装や修繕を行うことで住まいを長持ちさせます。
断熱リフォーム(壁や天井断熱の追加、サッシ交換など)を実施すれば、冷暖房効率を高めて省エネ・快適性を向上できます。
これらのメンテナンス費用を考慮しつつ、長期的に住宅を維持管理することが望まれます。
まとめ
木造住宅と木造モルタル造りの違いは、構造そのものではなく外壁仕上げの違いにあります。
いずれも木造軸組工法(または2×4工法)で建てられた木造住宅であり、木造モルタル造りはその外壁にモルタルを塗っただけの工法です。
木造住宅はコストの安さや調湿性の高さがメリットであり、モルタル外壁は防火性や独特の質感が魅力です。
現代では施工の容易なサイディング外壁も普及しており、初期費用やデザイン、メンテナンス性を比較して選ぶことが求められます。
これらの特徴を踏まえて、自分のライフスタイルや優先事項に合った構造・外壁材を選びましょう。